銀多伝③〜知られざる必勝法?その2〜
前回の記事の続きです。
shogi81komaochi.hatenablog.com
第2図の局面で、△5四歩▲5六飛と進むと上手が困っていることが分かりました。
第2図以下の指し手②
△7五金(第10図)
△7五金は▲5六飛を警戒した手で、定跡書では第10図で▲5九飛と引くと書いてあるんです。それも普通です。
しかし、いや待てよ。私は考えました。
これに対しても▲5六飛(第11図)と引く手がある、と。
おそらくどの定跡書にも載っていない手です。
ここで △5四歩と受けたら▲7七桂(再掲5図)と跳ねて、上手が困ると書いた局面に合流します。
第11図以下の指し手
△6五金▲5九飛(第12図)
次に▲7七桂と跳ねられると困るので、△6五金と飛車に当てて金を逃げます。
下手は飛車を1番下に引きます。
第12図以下の指し手
△5四歩▲7七桂(第13図)
12図で上手の指し手が難しい。5筋を素通しにしておくのは怖いので△5四歩と受けるのが普通ですが、そこで▲7七桂と跳ねます。
そこで△7五金と逃げると▲5六飛で、あれれどこかで見た局面……ってさっきと同じではないですか。
第13図以下の指し手
△7六金▲5六飛△7五歩(第14図)
という訳で△7六金と逃げますが、▲5六飛と浮いて△7五歩と突くしかありませんが……。
第14図以下の指し手
▲8五桂△同桂▲7七歩(第15図)
▲8五桂と捨てて▲7七歩が3手1組の好手順。
第15図以下の指し手
△同桂成▲同金△同金▲同角(16図)
下手の金と桂馬が捌け、次に▲8六飛や▲9五角の狙いがあります。
第16図以下の指し手
△8四歩▲9五角△8五金▲6八角(17図)
△8四歩は▲8六飛と▲9五角の両方を受けた手ですが、それでも▲9五角と出ます。
△7四玉と歩を受けると、▲6六桂△8三玉▲7四金と上から押していくことができます。
本譜は△8五金と受けましたが▲6八角と引いて17図。
下手からは次に▲6六桂と打って(▲7四金と▲5五歩の狙い)△6二桂の受けに、▲7四歩と打つ手があります。
(△同桂なら▲同桂△同玉にもう1回▲6六桂と打ち、玉が下がれば▲7四金から攻めていけます。)
金と桂を持ち駒にしているので攻め筋がたくさんあり、下手成功でしょう。
というわけで
△7五金にも▲5六飛(第11図)と引いて、下手がうまくいくでしょう。
定跡書にはない(と思われる)手ですが、上手が受けるのは困難です。