香落ちの考え方(上手編)
左の香車を落とす「香落ち上手」では、玉を右側に囲う(=振り飛車で戦う)のが基本的な指し方。
左側に玉を囲うと守りの香車がいないので非常に薄いです。
参考図の「舟囲い」は香落ちに向いていないのがお分かりでしょうか。
将来的に1二の地点に銀や飛車を打ち込まれる形になるとひとたまりもありません。
ただし玉を右に囲う「右玉」などは例外的な指し方で、香落ち上手でも有力な作戦です。
相居飛車も互いに玉をあまり囲わない急戦に持ち込めればアリかも。
香落ち上手の居飛車も工夫次第では十分戦えるでしょう。
さて、香落ち上手には大きく分けて2つの「考え方」があると思います。
その1:力戦に持ち込む
2つの例を見ていただきましょう。
例として、3手目△5四歩(大野流向かい飛車)
初手から
△3四歩▲7六歩△5四歩▲2二角成△同 飛▲5三角△4二銀▲8六角成
以下駒組みが進んで仮想図です。
馬を作られても角を手持ちにして形勢は互角でしょう。
将来的に飛車交換になれば1一の香車が取られないというメリットがあります。
香車なんてない方がいいんだ! \(^o^)/
他にも石田流や中飛車は(香落ちにおいて)これと決まった定跡がないので両者の構想力が問われる将棋になりやすいです。
香落ち分の実力差を見せつけるにはいい作戦と言えるでしょう。
その2:定跡(研究)で有利になる
駒落ちの定跡は
①長い間研究が進んでいない、②下手が勝つように作られている部分もある
という特徴があります。
香落ちは微差です。私個人は香落ちで簡単に優勢になるはずがないと思っています。
例えば香落ちの王道、三間飛車
ありがちな局面のよくある仕掛けです。
ただし上手陣が「71玉・52金型」や「82玉72銀・41金型」など細かい工夫ができて、定跡の仕掛け方がそれぞれ違うのが下手からするとややこしい。
そして、とある定跡書通りに進めた一例がこちら。
この図は本には「下手よし」と書いてありますが、例えば△8四香▲3九歩△4六歩と進んでみてどうでしょうか。
3四角のラインもちらつきますし、△6五銀~△7六銀のドリブルも嫌味。
私は下手をもって自信がありません。
角道を止める三間飛車や四間飛車は下手は定跡どおりに攻めてくることが多いです。
(穴熊などの持久戦にすると香落ちが生きにくいので、下手が急戦になるのは仕方ない面もあります)
定跡を研究することは、特定の変化に誘導しやすいというメリットがあります。
上手が戦える変化をいくつか用意しておけば、急戦も怖くありません。
今の時代は将棋ソフトで検討することもできますしね。
と、こんなところでしょうか。
もし香落ち上手を何度も指す機会があるのなら、毎局違う所に飛車を振っても面白いかもしれませんね。
香車が取られる心配がないので振り飛車の醍醐味である大捌きがしやすいですし、多少失敗しても実力差でなんとかなります(ならないこともあります)。
皆さんも香落ち上手LIFEを楽しみましょう!