将棋 駒落ち 上達への道

駒落ちについて考えるブログです。

香落ち 3手目△5四歩(大野流向かい飛車)② ―下手居飛車穴熊

①では3手目△5四歩(大野流向かい飛車)という指し方があることを紹介しました。

shogi81komaochi.hatenablog.com

今回は対する下手の作戦(工夫)を考えていきたいと思います。

 

(再掲)

初手から

△3四歩▲7六歩△5四歩

▲2二角成△同飛▲5三角△4二銀▲8六角成

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 ここから様々な駒組みが考えられますが、今回は下手が穴熊囲いを目指していきます。

 

下手の駒組みは下記の棋譜を参考にしました。

★参考棋譜

佐々木慎六段-脇八段(2014、第72期順位戦C級1組)

(▲7六歩△3四歩▲6八飛△5四歩の珍しい出だしから5三角から馬を作り28に飛車を振り戻す……という将棋)

棋譜はこちらで鑑賞できます。↓

www.meijinsen.jp

『現代振り飛車はこう指せ!』(自戦記が掲載されています)

 

△2四歩▲7七馬△3三桂▲6八玉△6二玉▲7八玉

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馬を77に格納して囲っていきます。▲7八玉では▲7八銀と美濃囲いにするのも有力でしょう。

 

△7二銀▲6六歩△7一玉▲8八玉△2五歩▲7八金△5二金左▲6七馬△2四飛   

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▲6六歩~▲6七馬がポイント。

すぐに▲9八香から穴熊に囲いたくなりますが、上手からは△4四角~△6四歩~△6五歩という筋があり危険です。

あらかじめ馬を67に動かして△4四角のラインを避けておきます。

 

▲4八銀△8二玉▲5六歩△5三銀▲5七銀△6四歩▲9八香△7四歩▲9九玉△6三金▲8八銀△9四歩▲9六歩

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ここまで囲えれば一安心というところでしょうか。

穴熊に囲う際は▲9八香~▲9九玉~▲8八銀の3手(特に▲8八銀)が指せるまでは慎重に駒組みすることが求められます。

先手は馬を目標にされないこと、手持ちの角を打ち込まれる隙を作らないことが重要です。

 

この局面の形勢は互角と思いますが、上手は穴熊に囲われるのが面白くないとみればもう少し早く動く手も考えられます(具体的には……△4四銀~△3五銀?など)。

 

・序盤の変化 △3三桂に注意!

 

初手から

△3四歩▲7六歩△5四歩▲2二角成△同 飛▲5三角△4二銀▲8六角成△3三桂

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△6二玉に代えて△3三桂とした局面。何気ない一手ですが上手はある狙いを秘めています。

 

(1)▲6八玉

△4四角   

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△4四角が部分的によくある手筋(4手目△3三角戦法など)。

香取りを受けるには▲7七桂しかありませんが、そこで桂頭を狙っていきます。

 

▲7七桂△5三銀▲7八金△6四銀▲8八銀△7二飛

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△6二玉と上がらなかったのは△7二飛と飛車を転換するためでした。

この局面まで進めば上手ペースでしょう。

 

△5三銀の局面で▲6六歩(取ると53の銀が浮いている)には△5二金左でまた次の一手が悩ましい。▲6五歩と突くのも気が進まないし、一歩取らせるのもうーん……。

 

形勢自体は互角でも下手が(特に初見で)うまく対応するのは難しいと思います。

 

(2)▲7七馬

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△3三桂に対しては▲7七馬が地味に大事な一手。

以下△6二玉▲6八玉△2四歩…… と進めば検討した順に合流します。

 

実戦には現れなくても様々な変化を知っていると面白いですね。

香落ち 3手目△5四歩(大野流向かい飛車)③ に続く……?

 

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